『obniz Board』で知的好奇心を育む
「obniz × 子供の科学 コラボワークショップ」レポート

「Society5.0」の担い手を育てるべく、現在、文部科学省・経済産業省・総務省が一体となり、小学校・中学校での「プログラミングを含めた情報教育」の強化を進めています。また、学習指導要領も改訂され、プログラミング教育は小学校で2020年度から必修化、中学校では2021年度から内容が拡充されました。

株式会社obnizは2019年秋より、雑誌『子供の科学』の誌面やウェブサイト『コカネット』にて、小中学生を対象に『obniz Board』を用いたプログラミング法やIoTツール作りの情報を提供しています。また、『obniz Board』を教材として活用中の教育機関や団体も徐々に増えてきました。

弊社と『子供の科学』編集部は、小学生・中学生たちの知的好奇心を育み、プログラミングやIoTへの学びをさらに深めてもらうために、2021年1月23日と5月5日にオンラインでワークショップを共催しました。
電子工作系YouTuberのトボリ様を講師として行った、各回の様子をご紹介します。

『obniz』って、どんなもの?

各ワークショップでは、弊社の共同創業者兼エンジニアとして技術開発に携わる木戸康平、講師のトボリ先生が『obniz』の仕組みについてご説明しました。

“Internet of Things”=IoT(モノのインターネット)とは、「さまざまな対象物をインターネットに接続して、それらのデータをやりとりしたり、状態を確認したり、対象物を操作する」ことを指します。

私たちが開発した『obniz』の最大の特長は、マイコンボード『obniz Board』に代表されるデバイスを経由して、専用ブラウザ(クラウド上のソフトウェア)『obniz Cloud』からプログラミングと対象物の操作を簡単に行える点にあります。
したがって、Wi-Fi環境さえあればどこにいても『obniz Cloud』にログインして利用可能で、電子回路の知識がなくても「ブロックプログラム」で直感的にプログラミングもでき、『obniz Board』とつなげたモーターやセンサーなどを通じてIoTをすぐに実行できるのです。

私たちのワークショップでは毎回、『obniz Board』搭載のラジコンカーをモニター越しにスマートフォンで操作してもらう「IoTの遠隔操作体験」を行っています。
まず、あらかじめ所定のプログラムをQRコードへ変換しておき、それを参加者が画面越しに読み取ることで、スマートフォンを一時的にラジコンのリモコンに変えます。
そしていよいよ、ラジコンカーの操作をスタート!ラジコンカーを用意した場所とご参加者のいる場所は、実際にはとても遠く離れています。それでも、インターネット上の『obniz Cloud」から『obniz Board』を経由して、スマートフォンからラジコンカーをスイスイ動かせてしまいます。
手で触れずに対象物を操作できるIoTのスゴさを実感し、参加したお子さまたちは目が釘付けになっていました。

1月のワークショップ
「家の外からエアコンをON/OFFできる装置」

obniz Board

1月のワークショップ
「家の外からエアコンをON/OFFできる装置」

この日参加したのは、小学生の桃子さん。「少年少女発明クラブ」の活動で新聞取材を受けたことがあり、『子供の科学』のワークショップへも何度か参加したことがあるそうです。
今回は、初めて『obniz Board』を使いながら、IoT装置の制作に取り組みます。

テーマは「エアコンの遠隔操作」です。家の外からスマートフォンで電源のON/OFFができるようになれば、真夏や真冬の日でも帰宅する前に部屋を適温に設定したり、消し忘れた電源を外出先から停止できたり、とても便利です。
必要なものは『obniz Board』とモバイルバッテリー、ケーブル、赤外線モジュール(赤外線送信受信モジュール、エアコンのリモコンとスマートフォンです。

エアコンは通常、リモコンからの赤外線信号を受信して運転します。
リモコンの先端にある赤外線LEDは今回使う「赤外線モジュール」にも付いているため、赤外線モジュールと『obniz Board』をつなぎ、『obniz Cloud』上で赤外線の送受信プログラムを作成して連動させれば、同じ仕組みになります。さらに、遠隔操作するためのプログラムも作って『obniz Board』に連携させることで、スマートフォンからエアコンが操作可能になるのです。
これら一連のプロセスを、トボリ先生の説明に沿って桃子さんが実際に行いました。

『obniz Cloud』には、条件や指示・命令(プログラム)をパズルのように組み合わせて作れる「ブロックプログラム」もご用意しています。プログラミング言語の知識がない方でも、ブロックをドラッグ&ドロップしてプログラムを作成できます

初めて使う場合には、分からないことがたくさんあります。プログラムが作成できているか、『obniz Board』と連動できているかなど途中で確認しながら進めていきます。

プログラムと設定がひと通り終わったところで、実際に操作ができるか確認です。
何度か試したところ、遠隔からエアコン停止の操作しかできないことが分かりました。木戸とトボリ先生がプロセスや状態を探ったところ、赤外線信号を『obniz Board』に覚えさせるときに設定が停止のみになっていたことが分かりました。原因と解決法をトボリ先生がご説明して、桃子さんも納得していました。

「もともと工作が好きで、いろいろ作っているうちにロボットに興味が出てきて、家でも作るようになりました」と、自作のゲームやロボットを見せてくれた桃子さん。農業やガーデニングにも関心があるそうで、そこで活かせるロボットやマシンのアイデアをいくつか話してくれました。
『obniz』のテクノロジーに慣れてきた頃に、どんなモノでIoTを実現するのかとても楽しみですね。

5月のワークショップ
「ヒミツの動作で天気を教えてくれるIoTグッズ」

5月のワークショップ
「ヒミツの動作で天気を教えてくれるIoTグッズ」

この日は、視聴のみの方も含めて全国各地から9名の参加者が集まりました。画面越しに見える6名が、トボリ先生と一緒に実際にIoTグッズを作ります。学校ではプログラミング学習をしているそうですが、『obniz Board』 を使うのは初めてです。

今回必要なものは、『obniz Board』とモバイルバッテリー、フルカラーLEDです。つなげるときに注意が必要なパーツは、その都度トボリ先生が確認しながら教えていきます。そして、プログラミングの際に一定の条件下で実行内容を変更させるための「条件分岐処理」の概念と、そこで使われる「if文」「switch文」を合わせてご説明しました。

この日作るものは、自分が住む地域の天気をLEDの色と『obniz Board』の表示で教えてくれるツールです。
天気を教えてもらうには条件分岐処理のプログラミングのほか、地域の天気データも連動させる必要があります。そこで、『Weather API』を利用して天気データを取得できるように設定しました。
LEDが「晴れ」のときは赤、「くもり」のときは緑、「雨」のときは青く光るようにトボリ先生がコンピュータの色表現で使われるRGBをご説明して、ブロックプログラム上で一緒に色の指定も行いました。

さて、このツールに天気を教えてもらうためには、あるヒミツの動作をスマートフォンのカメラに認識してもらわなければいけません。そこで、トボリ先生の指導のもとでその条件もプログラミングしてもらいました。

トボリ先生がドラッグ&ドロップしながら実演中です

最後は一斉に、作ったプログラムを試してみる時間です。あらかじめプログラミングした通り、ヒミツの動作「両手を上げて」バンザイをした後にLEDが光って、それぞれの天気を教えてくれるでしょうか。

うまく行かなかったお子さまは、トボリ先生のアドバイスでプログラミングの設定を確認しながら何度かトライ。
ほかのお子さまたちは、LEDを別の色に変えたり、LEDを点滅させる仕組みにしたり、スピーカーでメロディを鳴らしたり、バンザイの代わりに果物を認識させるなど…異なる条件でも実行できるかを試していました。
参加した皆さまの好奇心旺盛な様子に、トボリ先生も笑顔がこぼれていました。

「途中でトラブルもあったけど、やり方が分かって楽しかったです」
「先生がやさしくて、分かりやすく教えてくれたので楽しかったです。参加できてうれしかったです」
「お父さんと一緒に、おもちゃのブロックにコンピュータを貼ってロボットを作ったことがあります。(obniz Board を使って)次からは改造もしたいし、将来につながるようなロボットとかも作っていきたいです」

参加したお子さまたちからは、こうした感想をいただきました。また、今回作ったプログラムの保存方法の質問や、ラジコンカーを自分で作りたいといった相談もありました。
『obniz Board』とブロックプログラムで好奇心が刺激され、きっとたくさんのアイデアが湧いたことでしょう。これをきっかけに、オリジナルのIoTグッズ作りにもぜひチャレンジしてほしいです。

ワークショップの様子がテレビニュースに!

ワークショップの様子がテレビニュースに!

5月のワークショップの開催日は「子どもの日」だったこともあり、参加したお子さまたちとトボリ先生はNHKから取材撮影を受けました。そして、当日18時台と20時台の「NHK首都圏ニュース」で放送され、多くの方にごらんいただきました。

株式会社誠文堂新光社 『子供の科学』編集部 竹西様からのコメント

—obnizの技術に関する印象
パソコンだけではなく、スマートフォンやタブレットで手軽にIoTのプログラムが体験できるところがいいと思います。LEDやモーター、センサー類をつなぐこともできるので、簡単なIoTのガジェットをつくるのも楽しそうです。

ーワークショップ開催を経ての感想と今後について
ちょっと難しいかなとは思ったのですが、トボリ先生のアドバイスを受けつつ完成させていましたし、楽しんでいただけたようです。今後も『obniz』のおもしろさをコカネットの連載で体験していただきながら、オンラインを中心にプログラミングやものづくりが好きになるワークショップを開催していく予定です。



講師/電子工作系You Tuber トボリ様からのコメント

―『obniz』を初めて知ったきっかけや使ってみての感想
「IoTが簡単にできる」という話をネットで見かけたのがきっかけで、『obniz』を知りました。試してみたところ、本当にさらっとIoTが楽しめたので感激しました。電子工作でネットにつなげるというのは高い壁のように感じていたため、それをあっさり楽しめるようにしてくれるところが『obniz』の魅力だと感じています。

―「obniz×子供の科学」ワークショップの講師として
プログラミングやものづくりに関心がある子どもたちが、思っていた以上にたくさんいることに驚きました。しかも、既に知識が豊富な子が多く、作りたい物もそれぞれあるようでした。そういった子どもたちに思いきり楽しんでもらえるワークショップになるようにしていきたいです。

ーYouTuber として『obniz Board』を使って今後チャレンジしたいこと
『obniz』の公式制作レシピ集がとても充実しているので、それをどんどん試して遊んでみる動画を作れたらいいなと最近考えています。


コロナ禍の只中にある2020年から2021年は、どのご家庭でも自宅で過ごす時間が多くなっています。 その時間を利用して、『obniz Cloud』を用いたプログラミングや『obniz Board』を使ったIoTの工作に親子で取り組んでみてはいかがでしょうか。
興味のあるお子さまとご家族の方は、以下のウェブサイトでご提供している情報を自由にご活用ください。

コカネット 「obnizでつくろうスマートホーム!」
obniz公式サイト 『obniz Board』を使った制作例
obniz公式サイト『obniz Starter Kit』を使った制作例
トボリ先生YOUTUBEチャンネル 『子供の科学×obniz』動画シリーズ

『子供の科学』と株式会社obnizは、お子さまやご家族が日常でIoTに親しめるさまざまな企画を設けていきます。またの機会をどうぞご期待ください!