2020年10月3日(土)から4日(日)まで東京ビッグサイトで開催された『Maker Faire Tokyo2020』 に協賛し、2日間に亘り製品ブースも出展しました。今回は、弊社の『obniz(オブナイズ)』ブースや『obniz Board』を活用してくださった他のブースの様子をレポートします。
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コンテンツ
『obniz(オブナイズ)』―その特長と出展内容について
『obniz(オブナイズ)』は、世の中に存在するあらゆるものを誰もが IoT 化できる独自のテクノロジーです。機器や電子部品をネットワークを介してクラウドに直接つなぐ「クラウドコネクタ」の役割を果たします。
『obniz』を使うと、IoT化の対象となるモノひとつひとつにファームウェア(ハードウェア制御のためのソフトウェア)を作成する必要はなくなるため、プログラムの書き込みや環境構築から解放されます。遠隔からの一括操作や、複数台の同時制御も短時間で実現可能です。
今年の出展テーマは、「たった30秒でできるIoT体験」。ブースでは、モーター操作が得意な『obniz Board(オブナイズボード)』を用いた電子工作のデモ機に触れていただき、ホビー領域だけでなく、教育や産業用途に至るまで、高い汎用性をご説明しました。
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専用アプリや環境構築は不要!
IoTやAI認証を簡単にスタートできる
『obniz』は、公式サイトの専用ページにて無料で使えるプログラム環境をご用意しています。所定のブロック(ブロックプログラム)を選んで並べるだけで「今日の天気のお知らせ」「赤外線リモコン」「AI顔認証」など、プログラミング初学者やホビーファンの方でも簡単にIoTやAI技術を体験できます。
2020年11月からは、ブロックの漢字表記をひらがなに切り替える機能を新たに搭載。小学校低学年のお子さまや、日本語を勉強中の外国人の方も『obniz』を楽しめるようになりました。
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また、必要なパーツを全てセットにした『obniz Starter Kit』や『AI Robot Kit』『IoT Home Kit』も展開しており、IoT初心者の方の入門用や家庭用教育教材としても活用できます。『Maker Faire Tokyo2020』期間中は、これらシリーズの限定販売も行い、ご来場の方たちから大変好評でした。
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ご来場の方からは、電子工作だけでなく、ビジネスでの活用に関する質問も多くいただきました。
『obniz』から販売する製品*注1にはいずれも、専用クラウド『obniz Cloud』を付帯しています。なかでも『obniz BLE/Wi-Fiゲートウェイ』は、ケーシングされたコンパクトなIoTゲートウェイとして、産業用途のIoTにおいて導入が広がっています。保守・管理にまつわる物理的・金銭的コストを最小限に抑えるほか、双方向通信や、多数のデバイスを一括で連携・制御できること、目的の変化に応じてプログラムをまとめて変更・修正できる点などが導入先企業から高く評価されています。
*注1:obniz Board、Kit製品、obniz BLE/Wi-Fiゲートウェイなど。詳しくは製品一覧を参照。
全国の中高生Makerたちを応援
10月4日(日)には、株式会社ベネッセコーポレーションのブース「School Maker Faire」に出展した中高生Makerたちのオンラインプレゼンテーションと、協賛企業による表彰式が行われました。
ここでは、弊社の共同創業者で現役のエンジニアである木戸が審査員として講評を行い、選定作品に「obniz賞」を授与しました。
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私たちは公式サイトをはじめ、今回のようなイベントやセミナーなどさまざまな機会を通じて、『obniz』の持つ可能性や活用事例を今後さらにご紹介していきます。
『obniz Board』を活用した、
サイボウズ株式会社 『kintone(キントーン)』ブース
『Maker Faire Tokyo2020』では、サイボウズ株式会社の業務改善プラットフォーム『kintone』のブースにて『obniz Board』を活用したプログラムが出展されていました。
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『kintone』 は、例えば顧客管理や従業員の交通費申請、毎日のお弁当の注文、セミナー管理といった紙やメール、エクセルデータなどでバラバラだったデータを一元管理できます。さらに、必要なデータをひとつの画面で見ながらメンバーでコミュニケーションを取り、業務へ効率的に対応できるプラットフォームです。
『Maker Faire Tokyo』は、例年ご家族での来場も多いイベントです。そこで、こちらのブースでは、お子様がゲームを楽しむ間に保護者の方へ『kintone』 についてご説明することを想定し、複数のゲームプログラムが提供されました。
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そのうちのひとつ、「居合い切りKATANACTION」は、刀の抜き差し動作によって人形の頭部が『obniz Board』を通じて遠隔操作され、同時に、抜き差しの速度が 『kintone』のウェブデータベースに登録されて順位を確認できる仕組み。双方のテクノロジーの柔軟性が活かされたゲームでした。
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(この速度のスコアがデータベースでランキングされます)
これらの開発を担当したシステムコンサルティング本部の大竹 遼様によると、「『kintone』は、JavaScriptでカスタマイズできるシステムとなっており、同じくJavaScriptで制御可能な『obniz Board』との親和性の大きさが、活用の最大の理由だった」とのこと。また、プログラムの動作を少しテストしたいときに、『obniz Board』がNode.js環境でも使えたことは新たな気づきであり、メリットでもあったそうです。
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これは、カッコいい!
『kintone』は基本機能や使い方を学べる動画が揃っているほか、各種セミナーも開催されています。
また、『kintone』のアプリケーション開発を目的とした、無償の開発者用ライセンス(開発環境)もご用意しており、気軽に試すこともできます。
詳しくは、以下のウェブサイトページをごらんください。
■『kintone』公式サイト
https://kintone.cybozu.co.jp/
■「動画で学ぶキントーン」
https://kintone.cybozu.co.jp/seminar/ondemand.html
■セミナーのご案内
https://kintone.cybozu.co.jp/seminar/
■kintone 開発者ライセンス(開発環境)
https://developer.cybozu.io/hc/ja/articles/200720464
一般参加者ブースのご紹介 ―「Table Tennis×Tech」様
『Maker Faire(メイカーフェア) 』会場内には、毎年多くの一般参加者のブースも並び、それぞれが創意工夫したさまざまなジャンルの電子工作品の数々が展示されます。
今回の『Maker Faire Tokyo 2020』では、普段は組み込みソフトエンジニアとして活躍している一般参加者の「TableTennis×Tech」様が、『obniz Board』を使ってつくりあげた作品『スマートスコアボード』が展示されていました。
この作品は、卓球の試合で審判が得点時に手を挙げる際のジェスチャーをカメラで認識させることで、デジタルスコアボード上に得点を加算する仕組みになっています。
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顔認証システムとデジタルスコアボードが連携されています
「TableTennis×Tech」様は卓球が好きで、以前から卓球とテクノロジーを組み合わせて何かをつくりたいと考えていたそうです。
今回の作品で活用した『obniz』との出会いは、社会人大学院でのプロトタイピングの授業だったといいます。
「その授業で、実際の制作の際に『obniz』の公式ブログにある制作例の記事で『Pose Net』(写真や動画に映っている人物から姿勢やポーズを検出できる技術)というものを知りまして。その姿勢推定の方法を使って、今回の展示物にある卓球の審判のジェスチャー認識をやってみようと思いつきました」
「加えて『obniz』はネットワーク接続ですし、JavaScriptで実装されている点も考慮すると、試合の得点をウェブ上の速報サイトのようなところに随時アップデートするのに適している、とも思いました。そこで、IFTTTを用いてGoogleのスプレッドシートに得点を記録して、そのログをさらに速報サイトで読み込んで表示するシステムをつくりました」
この仕組みにより、試合スピードが速い卓球であっても、常時ネットワークで接続され、試合結果をリアルタイムで配信可能な『スマートスコアボード』が完成したのです。
「TableTennis×Tech」様から、今後の構想についてコメントが寄せられました。
「いま目指しているのは、卓球の試合の審判の完全自動化と試合データの自動収集です。全てのラリーデータを自動で取得できれば、そこから得点判定が可能になります。また、今回の『Maker Faire』で展示した速報システム『スマートスコアボード』で、ラリーデータをリアルタイムで公開できるようにもなります」
「同時に、ネットインやエッジボール(※1)の判定(※2)や、選手へのボールの供給ができるようになれば、審判を完全自動化できるようになると思います。サイズが小さいうえに、ネットワークにそのまま接続できる『obniz Board』は卓球台の周囲に配置するには適していて、この先のアイデアの実現にも役立つのでははないかと考えています」
※1)
・ネットイン:
打ったボールがネットに触れて、相手のコートに入ることを指す。ネットインしてもラリー は続けるのがルールだが、ネットインのボールの速度や動きが変化するため返球しにくいのが特長。
・エッジボール:
打ったボールが卓球台を囲むフチの角に当たる状態を指し、ルール上はセーフ。ただし、卓球台の側面に当たった場合は、サイドボールとしてアウトとなる。
※2)ネットインやエッジボールに対する審判の判定は難易度が高く、試合の進行や結果を大きく左右することが少なくない。
『obniz』の技術や特性がこうして1人でも多くの方の創造力を刺激し、IoTによる新たなアイデアが世に出ていくことは、私たちにとって大きな喜びです。
次年度以降も、私たちは『Maker Faire Tokyo』をはじめとする各種イベントや展示会などを計画しています。多くのご参加者の皆さまとお会いするのを楽しみにしています!