この記事では、ペットボトルのキャップをインターネットに繋げた場合、どのようなことができそうかを、 個人 と 社会 の2つのレイヤーに分けて紹介したいと思います。キャップはもう捨てるものではなく、インターネットに繋がる全国または世界的に再利用前提のものであると考えて読んでください。
コンテンツ
ボトルキャップのIoT
私たちの身の回りには、ボトルに入れて保存するものがたくさんあります。例えば、ペットボトル飲料・調味料・洗濯用洗剤・スキンケア用品…など挙げ出したらきりがありません。ボトル製品のジャンルは多岐に渡っているので、もしこれらがインターネットに繋がったら、私たちの暮らしはより便利になるかもしれません。
ここで、ボトル自体をインターネットに繋げても良いのですが、より簡単にできて再利用しやすいという点を考慮し、ボトルキャップ(以下キャップ)の方をインターネットに繋げたらどのようなメリットがありそうか考えてみましょう。
現在行われているキャップのIoT
全てのキャップがインターネットに繋がった未来を考える前に、現在行われているキャップのIoTの事例を紹介します。
Illumicap (イルミキャップ)
Illumicapとは、2015年9月に株式会社WHITEとキリン株式会社が共同で開発したと発表された、スマートフォンで光をコントロール可能なIoTキャップデバイスです。BluetoothモジュールとLEDライトを搭載しており、ボトルをカラフルに光らせることができます。

できること
- スマートフォンアプリから色や明るさの変更する
- スマートフォンの音楽と色の変化を同期させる
- ユーザーの動きに合わせて色を変化させる
- 長時間露光カメラ機能で光の残像を撮影する
- 公開された3Dデータから自分好みのキャップを作成する …etc
専用アプリから色や明るさを自在に変化させられるのはもちろん、加速度センサーで取得したユーザーの動きに連動して光の色を変更したり、スマートフォンで流している音楽に合わせて光の色を変更したりできます。さらには、無料で公開されたIllumicapの3Dデータから好みのキャップを作成することができます。
個人でできるキャップのIoTの可能性
現在行われているキャップのIoTの事例を紹介したところで、近い将来キャップをIoT化することによって各個人が恩恵を受けられる例について考えてみます。
残量を外出先から知る
キャップがインターネットにつながると、その場にいなくてもスマートフォンやウェアラブル端末から 簡単に残量を確認 できます。
例えば、外出先で「あれ?家にまだ醤油残っていたかな?」と疑問に思ったとき、スマートフォンから残量を確認できれば、わざわざ家に戻ったり家族にLINEで聞いてその返事を待ったりする必要はありません。もし足りないことが分かれば、帰り道にスーパーに寄って醤油を買ってから帰ることができます。
また、 残量が一定量以下になったらLINEに通知を送る 、なんてこともできます。そうすれば、わざわざ残量確認のアプリやページを見なくとも、無くなりそうなものの通知を受けて買い足すことができて便利ですね。
残量が少ないものの自動注文
上の「残量を外出先から知る」の章では、残量を確認した後のアクションは自分で起こしていましたが、日常必需品の場合は 残量が一定量以下になったら自動で注文 してくれた方が便利ですよね。
例えば、醤油がボトルの残り10分の1になったとき、自動で注文するように設定すれば、残りがわずかになったときに勝手に醤油が届くので、わざわざ残量を気にして買い足す必要がありません。
現在似たようなサービスとして定期購入がありますが、定期購入ではあまり使わない月でもたくさん届いてしまったり、よく使う月は届いた量では足りなかったりする可能性があります。しかし、キャップでの残量センシングに基づいて自動注文すれば、実際の使用量に応じて注文されるため、このようなことがありません。
残量とWebサービスの連携
キャップがインターネットに繋がれば、遠隔地から残量を確認できるだけでなく、他のWebサービスと連携できる可能性があります。
例えば、レシピの検索サービスと連携することによって、今家に残っている調味料の組み合わせから、今晩の献立を自動でサジェストすることができるかもしれません。
他にも、節約サービスと連携することによって、毎日のシャンプーやスキンケア用品の使いすぎを防止することができたり、健康促進サービスと連携することによって、1日の水分摂取量や摂取タイミングをコントロールすることができたりします。
社会にスケールしたキャップのIoTの可能性
前の章では、各個人が受けられる恩恵について書きましたが、今度は社会全体で見るとどのようなメリットがあるのか考えてみます。
購入量ではなく純粋な消費量の統計が取れる
キャップがインターネットに繋がると、 世界的に純粋な消費量の統計を取る ことができます。現在、ボトル製品の購入量の統計を取ることは可能ですが、実際の使用量の把握は難しいです。お店でたくさん購入したからといって、必ずしも全て使い切るとは限りませんよね。
純粋な消費量の統計を取ることが可能になれば、例えば各メーカーが生産量をより正確にコントロールできるようになったり、よりきめ細やかに地域ごとの配送量を設定できたり、プロモーション先の国や地域を設定しやすくなったりするのではないでしょうか。
さらに、現在 「購入量に応じてお金を支払う 」というシステムが主流ですが、キャップがインターネットに繋がれば 「家に設置しておいて使用量に応じてお金を支払う」 というシステムが主流になるかもしれません。
消費量や消費タイミングに合わせた個人広告
キャップがインターネットに繋がると、消費量だけでなく消費時間も記録に残すことができるため、 広告もよりパーソナライズできる と考えます。
例えば、醤油が切れそうなタイミングに合わせて、新しく出たオススメの醤油の広告を出したり、醤油が合いそうなお惣菜の広告を出したり…なんてことができます。
他にも、毎日22:00にスキンケアをするのが習慣である人に対して、22:00に近づくとその人がやっているSNSにスキンケア関連の広告を増やすこともできます。
obnizでキャップを開けたことを通知する
ここまでキャップがIoT化するとどのように便利になるのか考えてみましたが、最後に現在obnizで簡単にできるキャップのIoTを紹介したいと思います。 キャップを開けたら通知を飛ばすシステム でしたら簡単に実現できるのではないでしょうか。キャップにジャイロセンサーを取り付け、キャップを傾けた = キャップを開けた ことにします。
準備するもの
- bnizとバッテリー
簡単にIoTを実現できるボードです。

- ジャイロセンサー
軸に対する回転、つまり傾きを測定できるセンサーです。

どうやって作るのか
システムはこんな流れで動くイメージです。
①キャップを開けると、ジャイロセンサーでその傾きを検知します。ここでは、 キャップを傾けた = キャップを開けた と考えます。
②obnizはインターネットに繋がっているので、誰かがキャップを開けたことをLINEに通知したり、開けた日付と時刻をクラウドに保存しておくことで、使用頻度を簡単に可視化したりできます。

この記事で紹介したシステムのように、obnizを使うと簡単にIoTもインタラクションセンシングも実現できます。公式サイトでは詳しいobnizの紹介やチュートリアル、制作例などが載っているので、ぜひ覗いてみてください。
→ obniz