スポーツ分野におけるIoT活用事例8選

IoT(Internet of Things、モノのインターネット)とは、さまざまなモノがインターネットにつながる技術のことです。 さまざまな分野での活用が期待されており、スポーツ分野においても積極的な導入が進められています。

IoTについては以下の記事で詳しく説明しているので、ぜひ合わせてご覧ください。

今回は、IoTがスポーツにどのように活用されているのか、それによってスポーツはどう変わっていくのか、スポーツの最先端をご紹介します。 テクノロジーの使われ方によって、「分析」「観戦」「新しい競技」といった3つの観点からお伝えしていきます。

IoTでプレーを分析する

CATAPULT

オーストラリアの企業であるCATAPULTは、スポーツ向けのGPSデバイスを販売しています。

ウェアラブルデバイスは上半身に身につけるもので、背中側についているセンサーによって選手の動きを測定することができます。 具体的には、走行距離やスピードに加えて、加速や減速、身体の傾きや方向転換などの細かな動きも記録することができます。

これらのデータはアプリで分析することができ、戦術を考えたり怪我を予防したりすることに活用が可能です。 特に怪我による選手の離脱は、戦力の面でも投資の面でも大きな損失となるため、選手のコンディションを管理し怪我を未然に防ぐことは重要になります。

CATAPULTの製品はサッカーを中心にさまざまなスポーツで活用されており、2020年現在では、150ヵ国以上2970以上のチームで利用されています。

(参考:https://www.catapultsports.com/

ミズノスイングトレーサー

ミズノのスイングトレーサーは、野球のバットにつけてスイングを分析できるデバイスです。
グリップエンドにアタッチメントを取り付けることで、簡単に装着することができます。

分析できる項目は以下の8項目です。
・スイング時間(振り始めからボールに当たるまでの時間)
・スイング回転半径
・最大ヘッドスピード
・ボールに当たる直前のヘッドスペード
・ヘッド角度(ボールが当たる瞬間のヘッドの傾き)
・インパクト加速度(ボールに当たる寸前のヘッドスピードの変化量)
・ローリング(バットの回転数)
・スイング軌道

これはミズノがこれまでバットスイングを解析してきたノウハウから得た「解析に不可欠な8種類のデータ」だということです。

計測したデータはアプリで確認することでき、スイング時の動きやバットの軌跡をアニメーションとして、好きな視点から見ることができます。 フォームの改善や練習の記録に使ったり、選手のデータベースとして活用することで戦術を考えるのに役立てたりすることが可能になります。

(参考:https://www.mizuno.jp/baseball/swingtracer/

ドローンの活用

ラグビーチームの「サントリーサンゴリアス」は、DJI社の空撮ドローン「Inspire1」を活用して試合や練習の映像解析を行っています。

ドローンは選手の動きに合わせて最適な位置から撮影できるので、定点では分かりにくかった動きも立体的にとらえることができます。
これにより、細かい動きやパスの流れを正確に分析することができ、戦術の改善や指導内容の向上につながります。

ドローンはラグビーの他にも、さまざまな競技で導入が進められています。
サッカーでは上空からの撮影でフォーメーションを分析したり、野球ではバッティングフォームを立体的に解析したり、といったことがなされています。

また、選手各個人のウェアラブルセンサーと組み合わせることでより高度な分析を行ったり、サーモカメラで撮影することで熱中症予防に活用したりすることも期待されています。

(参考:http://gmba.jp/2015-02-23-15-20-41/case-study/8483-20160126.html

IoTでスポーツ観戦が変わる

売り子ール

観戦中に飲食物などを買いに売店に行くと、移動中や列に並んでいる間に大切なシーンを見逃してしまう、ということが起こり得ます。 これを防ぐために、座席で注文し座席で受け取ることができるようにしたのが、売り子ールです。

座席についているQRコードをスマートフォンで読み込むことで注文ができます。 ブラウザで完結するのでアプリをダウンロードしなくても利用でき、座席番号の入力やユーザー登録も必要ありません。

売り子さんは買い手を探して歩き続ける必要がなくなり、労力軽減につながります。 運営側は購買データをログとして蓄積し、分析して商品ラインナップの改善などを行うことができます。

(参考:https://uri-call.uhuru.co.jp/

スマートスタジアム

NTTグループが行っている、ICTを活用してスタジアムで新しいサービスやコンテンツを提供していくプロジェクトです。

高密度Wi-Fiサービスとして「ARDIJA FREE Wi-Fi」を提供しており、インターネットを快適に利用できたり、高精細な映像番組を視聴したりすることができます。 番組は試合の中継の他、特定の選手にフォーカスした映像や試合に関連した応援番組などが配信されます。

また、VRを利用して、ゴールキーパーの目線でシュートを受ける体験ができるイベントも開催されています。

(参考:https://www.ntt.co.jp/activity/jp/b2b2x/smart-stadium/

MOALA Ticket

MOALA Ticketは、スマートフォン上で電子チケットを発券し、入場できるサービスです。

紙のチケットを発券する手間がなくなり、SNSなどで同行者に共有することも簡単にできます。 LINEアカウントなどと紐づけて発券されるため、転売や不正利用の防止にもつながります。

電子チケットが送られてくるチャットでは、イベント中の企画配信なども可能となり、運営と来場者のコミュニケーションツールとしても活用できます。

また、MOALA Ticketが国際特許を持つ「電子スタンプ」という技術があり、スマートフォンの画面上に直接押印が可能です。 これにより紙との併用ができ、電子チケットの専用レーンを設ける必要もなく導入ができます。

(参考:https://moala.playground.live/#mainvisual_fullpage

IoTによって生まれる新しい競技

ベビーバスケ

世界ゆるスポーツ協会が考案した、「ベビーボール」と呼ばれるボールで行うバスケットボールです。

センサーの入ったボールは激しく動かすと大声で泣き出してしまうので、泣かせないようにそっと扱う必要があります。 泣き出してしまったら相手ボール。優しく扱ってゴールであるゆりかごに入れれば得点となります。

バスケットボールの上級者も初心者も同じレベルで楽しむことができるという、テクノロジーがもたらす新しい競技の形だといえます。

(参考:http://yurusports.com/sports/babybasket

HADO

ARを用いて、ビームやバリアを使って競うことのできるスポーツです。 頭にヘッドマウントディスプレイを、腕にアームセンサーを取り付けて行います。 3対3で戦い、味方と連携しながら技を繰り出し、相手にダメージを与えることでポイントを稼ぎます。

HADOは世界中で人気を集めており、国内外で定期的に公式大会が開催されています。 体験施設も各国に展開されていて、2019年9月時点では世界26ヵ国65ヵ所に施設が存在しています。

また、HADOは超人スポーツ協会の認定競技でもあります。 超人スポーツ協会は現代のテクノロジーでスポーツを再発明することを目指し、新しいスポーツを創造・研究しています。 HADOだけでなくテクノロジーを用いたさまざまな競技が紹介されているので、ぜひサイトを確認してみてください。

(参考:https://hado-official.com/

他の業界へのIoT活用

IoTが活用できるのは、スポーツの領域に限りません。
本メディアでは、さまざまな業界におけるIoTの活用方法・活用事例の紹介をしています。
以下の記事も合わせてご覧ください。

製造業

農業

物流

小売業

自動車(MaaS)